彼女の旅立ちを知ったのは2018年の晩秋のこと。
彼女とはそれほど深い関係ではなく、海で会ったときに一言・二言、あいさつと簡単な会話を交わすくらい。
でも、彼女がわたしの作品に対して好意的に思ってくれていることは知っていたし、SNSにコメントを寄せてくれたり、わたしが販売しているTシャツを周りのひとにまで勧めてくれている様子を人づてに聞いていたりして、そんな彼女の存在がわたしにとってとても大きかったことを、彼女がいなくなって気付きました。
わたしはしばらく、海の絵を描こうとする度に、彼女と、彼女がいなくなったことを思い出して、ペンを握りながら涙をにじませる、という日々を送りました。
そんな中でふと、生命溢れる美しい海の中に、彼女をたくさんの海の生き物たちと一緒に残そうと思い立ちました。
実在しない生き物は描かないと決めているのですが、彼女が旅立った日から、わたしの潜る海には人魚が泳ぐようになりました。
この作品を見る度に、太陽の様に明るかった彼女のことを思い出します。